E三(イーサン)までの経緯

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E三(イーサン)までの経緯

造成総合支援システム[LAPSED](らっぷせっど)

(株)菅平土建 昭和54年8月創設、代表取締役 常田亀久夫 。  ラグビー合宿のメッカとして有名な菅平高原で現在100面あるグラウンドの半数以上の造成と、近年では人工芝グラウンドを8面施工。  国立公園内の豊かな自然と人工的な造成の調和を図るには、両者の接する部分のきめ細かな設計とその為の測量、施工が必要である。  しかし限られたコストと工期の中、従来方法でそれを実現することは困難なため、10年前 独自の情報化施工システムを考案し、 グラウンド造成工事の測量、設計、施工で利用。 その効果を確認してきた。  それが造成総合支援システム[LAPSED](らっぷせっど)である。

[LAPSED]の原点 高台斜面の戸倉公園

戸倉公園は、町の高台斜面上に位置する約3.0ha,総事業費4億3千万円、私が設計事務所時代に設計・施工監理業務に携わった公園である。(戸倉公園平面図)

敷地内に蛇行する既存道路の拡幅に加え公園としての要望に応えるため、連続する曲面の造成形態としたが、一定間隔の断面を基本とする従来方法の設計、施工方法では理想的な造成形状実現が困難なため、正確な現況コンター図をもとに正確なコンターで設計し、設計コンター図から無数の三次元座標を読み取り、施工の現場においてはそのデータをトンボとし施工した。(戸倉公園コンター図)

この業務では、設計、施工とも手作業が多く非効率であり、[LAPSED](あらゆる造成形態を効率的に実現する測量、設計、施工システムの開発)の原点となった。

[LAPSED]の利用

ゼネコン、設計事務所を経て、現 菅平土建で、民間主体のグラウンドなど大型造成工事を請けるに当り[LapSed]を完成させ、測量設計施工で活用。設計では戸倉公園の経験を生かし、正確なコンターにより造成形態を確定していく。(造成総合支援システム)

三次元設計の一つであるコンター設計の利点は、常に上からの視点(平面図)で全体を把握しながら立体的に設計できる点で、断面法による中間点の曖昧さや面の不連続がなく、現況コンターとの接点を繋いでいくことにより開発面積最少、滑らかで自然に対し違和感のない造成形態とすることができる。また、断面測量や断面による設計、断面ごとの丁張設置がないので一連事業での大幅なコスト削減が可能である。一般的な断面法と比べて、測量で30%、設計で20%、施工で20%、事業全体では現公共事業の20~50%減の総費用も不可能ではない。

「101G図面」は101番グラウンド施工例で、地形測量で得られた正確な現況コンター上で、正確な設計コンターで形状を確定し、施工で必要な設計三次元三角網を作成し施工する。詳しくは、101G図面PDFファイルをご覧ください。

傾斜や起伏が大きい箇所での造成では1.0mコンター、起伏の小さい場合は10cmあるいは1cmコンターなどで対応(人工芝図面PDFファイル

いくつかの造成工事の測量、設計、施工を重ね、2008年、施工時の効率化を図り自動追尾トータルステーションを導入しこれまでの独自のソフトから汎用ソフトを利用。

そして、E三(イーサン)へ

現況地形をトータルステーション(TS)で測量し接続のパソコンCAD上に観測点をプロット。  そのデータから正確な現況コンターを作成。  造成設計も正確なコンターで行い現況の自然地形との接点を細かく見出し開発面積を最少、違和感の無い造成形態を設計。  設計データから施工に必要な面データを作成。  施工ではバックホウのバケットに取付けた反射シートを観測し接続のパソコン上で作業中のバケット刃先と設計面との差を計算。  オペレーターに無線でその数値を伝える方法をとっていた。  昨年11月(2008年)国交省中部地方建設局にICT研究会が発足。  会員となった今年、菅平で101番目のグラウンド施工にあたりこれまでのTSから自動追尾TSを導入。  ソフトも独自で開発したものから汎用の出来形管理ソフトを使用。  自動追尾TSとバケット左端に取付けたプリズムを用いて、 バケット刃先の位置情報を取得し運転席に設置したハンディーターミナルに設計面上の刃先位置と設計面との差分を表示。  プリズムをバケットに取付ける装置も工夫し、バケット仕上げ面、プリズムと刃先の鉛直が運転席から容易に認識できるようにした。  それが [E三](イーサン)である。 特許出願中(特願2009-177013)

山間地造成の提案

山光館クロカンコース(2011/6月~9月 施工)。これは列状間伐を予定している広大な林地に設計施工した小グラウンドと往復2.0kmのランニングコースで、過去には自然破壊が懸念される事業であるが、逆に密集した林野に立体的に光が差し込み列状間伐による森林整備と同効果が期待される。

コストを抑えるため、造成時に発生した表土は天然芝の基盤に、笹根はのり面緑化材に、伐根は盛土に、自然石はベンチなどに利用し公園的な景観とした。ここでもLapSedとE三は不可欠。

震災復興にむけて

東日本大震災の復興案では、津波被害に備え高台に生活基盤を移す方向で検討がなされているが、高台や山間部をその対象とした場合、戸倉公園のような生活環境はどうだろう。

これまで利用が少なく森林機能が低下している斜面や林野で、列状間伐的な森林整備を兼ね、道路網や水道電気などインフラも含めた公園のような空間が生活基盤になれば理想的である。

限られたコスト、時間の中でこうしたことを実現するには、これまで蓄積された概念から離れなければならない。

コスト削減では、出来るだけ現場発生品を利用。例えば、木材や自然石は土留め、表土や笹根はのり面緑化、抜根や瓦礫も工夫次第で建設資材となる。

生活環境空間の創設と同時に、森林を再生する列状間伐的な土地利用計画。

測量、設計、施工一連事業では建設ICT技術などを取り入れ、従来の贅肉的作業を削ぎ落とした事業費全体の大幅削減が必要である。

安心、安全、快適の追求とコスト削減や効率化は矛盾するものではなく、これまでの概念を離れ、創意工夫してその両立を実現していくことが重要である。

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